目が離せない! 2024年1月~6月期 宇宙開発イベントカレンダー

今年は1月から「日本初の月面着陸」というビックニュースが飛び込んできました。
宇宙開発の世界では、新たな展開や技術革新が日々進行しています。2024年の初めから初夏にかけても、ロケットの打ち上げや新たな月面探査などのイベントが目白押しです。
その中でも特に注目度の高いものをご紹介します。
今年も宇宙開発から目が離せません!

ロケット打ち上げ(無人)

1/12 H-IIAロケット48号機打ち上げ(日本)

種子島宇宙センターから打ち上げられるH-IIAロケット©JAXA

種子島宇宙センターよりH-IIAロケット48号機の打ち上げが行われました。

H-IIAロケットの打ち上げは47号機の打上げ以来およそ3ヵ月ぶりです。

また、H -IIAロケットは50号まで生産されており、以降は新型ロケットH3の運用となるため、残りは2機となりました。

H-IIAロケットには光学センサー搭載して画像を撮影する光学衛星「光学8号機」を搭載しており、打ち上げおよそ20分後に軌道投入にも成功しました。

「光学8号機」は「光学6号機」の後継機で、災害対策や防衛対策での活躍が期待されています。

1/20 小型月着陸実証機SLIMが月面着陸(日本)

月面着陸した小型月着陸実証機SLIM(イメージ)©JAXA

JAXAで開発が行われた小型月着陸実証機SLIMが、月面着陸を日本で初めて成功させました。

SLIMは2023年9月7日に種子島宇宙センターより打ち上げが行われ、約3カ月かけて月周回軌道投入に成功、1月20日の0時20分ごろに「神酒の海」付近へ着陸を行いました。

SLIMは世界初の月面ピンポイント着陸を実証するための月面探査機です。

従来月面着陸は平たんで岩の少ない場所に下りることが必須です。その非常に限られた着陸ポイントを探すために目的地から数km~数十km単位の誤差が生じていたうえ、その分の燃料などが無駄になるなどの課題がありました。

SLIMはこうした課題を克服し、「降りたい所へ降りる」着陸を実現させることで着陸地点の選択肢を広げ、また月以外の惑星の着陸の実現も視野に入れることが可能になります。

実際に着陸したポイントも、傾斜15度ほどのクレーターの斜面です。

ミッションは目標地点から誤差100m以内に収めることが目標とされていましたが、最終的な着陸精度は障害物を回避したことで50mほど東に行っているものの、障害物回避前の精度では10m以内に収まっており、実際には3-4mほどと推定されるとJAXAは発表しています。

一方で着陸直後には太陽光パネルが機能しておらず、さらにその後、SLIMが搭載していた月面ロボットLEV-2 (SORA-Q)の撮影データから、想定とは異なった前のめりになるような姿勢で着陸していることが分かりました。

また、高度50m付近でメインエンジン1基が失われたトラブルもあったことが明らかにされています。

SLIMは着陸2時間ほど後に電源をセーブするために一旦電源が落とされ、太陽光がパネルに当たった1月28日に運用が再開、月面の岩石を観測するなどの活動を数日間行いました。その後も4月までに2度の越夜に成功しています。

 

SLIMには月面ロボットLEV-1とLEV-2 が搭載されており、いずれも高度5m付近で放出されました。

LIV-1はJAXAと中央大学、東京農工大学、和歌山大学などが開発しており、ばねを利用して跳躍しながら移動することが特徴です。LEV-2のデータ送信や移動データの記録を実施しました。

LEV-2はJAXA、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学が共同開発した小型の変形型月面ロボットです。大きさは直径80mmと野球ボールほどで、質量は約250g。世界最小、最軽量の月面ロボットです。月面での撮影や走行データの取得などを行います。

いずれも一定時間活動したのち、現在は運用を停止している状態です。

タカラトミーからは実際に操縦・写真撮影が可能なLEV-2のレプリカモデルが販売されています。

2/15 IM-1ミッション実施、2/23 民間企業初の月面着陸成功


Nova-C月面着陸の様子 – NASA公式You Tube

アメリカの民間企業・Intuitive Machinesが開発した着陸機Nova-C(オデュッセウス)を搭載したFalcon 9ロケットが2月15日午前1時5分(日本時間2月15日午後3時5分)にケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

Intuitive Machinesはヒューストンを拠点として2013年に設立された民間の宇宙航空企業です。

IM-1はアルテミス計画をサポートするためにNASAが開発した計器などを小型の着陸船および探査機を月に派遣する商業月輸送サービス(CLPS)の一環として実施され、民間企業初となる月面着陸、および未踏の地である月の南極を目指すミッションとなります。

Nova-Cは打ち上げ後、約一週間かけて月周回軌道に到達、2月23日午前8時24分に月面着陸を行いました。

アメリカの月面着陸は1972年のアポロ17号以来およそ半世紀ぶりとなります。一方で接地時に脚が折れ、横転した状態になったと発表されています。通信には成功しており、7日間活動したのち一時運用停止、その後SLIMと同様越夜後の再稼働を試みましたが、電源への接続見込めないとして運用が終了しました。

ペイロードはNASAの開発した月と地球の距離を測定するリフレクターなどの5つの計器のほか、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館の『パピー』像や、風船のプードル型の彫刻「バルーン・ドッグ」などで知られるジェフ・クーンズによる彫刻などが搭載されました。

次の月面着陸であるIM-2 ミッションは2024年11月に実施される予定としています。

2/17 H3ロケット2号機打ち上げ(日本)

種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット©JAXA

新型国産ロケット「H3」2号機の打ち上げが行われました。2023年3月7日の1号機の打ち上げ以来、およそ一年ぶりの挑戦です。

H3ロケットは最長63mにもなる大型の衛星運搬ロケットで、JAXAと三菱重工業が開発を行っており、液体燃料を使用した使い捨て型のロケットとなります。

「H3」の「H」は水素の元素記号、また、H-IIロケットから「H」や数字の継承と、Ⅱと混同させないためにアラビア数字の「3」が採用されました。

2号機には衛星を模したダミーペイロード『VEP-4』が搭載されました。本来はレーダ衛星「だいち5号」が搭載予定でしたが、1号機に搭載されていた搭載光学通信衛星「だいち3号」が失われたことを踏まえ、「だいち3号」と同じ重量を持つダミーペイロードで分離の検証を行う事になりました。

この他にキャノンが開発したCE-SAT-IE、セーレン株式会社などが開発したTIRSATの小型副衛星2機がペイロードとして搭載されました。

打ち上げは2月17日午前9時22分種子島宇宙センターより行われ、約5分後に機体分離、1回目で点火しなかった2段エンジンの燃焼にも成功し、搭載した衛星の軌道投入まで行い、目的となるミッションを達成しました。

次の打ち上げには「だいち5号」が搭載され、2024年度中に実施を予定しています。

2/19 ADRAS-J打ち上げ(日本)


ADRAS-J打上げオンラインイベント – アストロスケール公式YouTube

軌道上のデブリの調査を行う人工衛星ADRAS-JがニュージーランドのマヒアにあるRocket Labの発射場Launch Complex 1より打ち上げられました。

ADRAS-Jは日本の企業アストロスケールが開発した、宇宙ゴミ除去の実証衛星です。

宇宙デブリは回収の難しさから年々増加の一途をたどっています。2023年には宇宙飛行士が船外活動中に工具袋を落としたことで、地上からも観測可能な宇宙デブリになった事も話題になりました。

小さな宇宙デブリは大気圏に突入する事で燃え尽きますが、使用されなくなった人工衛星やロケットの部品などの大きなデブリは燃え尽きる事無く軌道上を周回しており、稼働している人工物に衝突するなど宇宙活動の弊害になるリスクが増大しています。

ADRAS-Jはこうした大きなデブリなどへ安全な接近を行い、状況を明確に調査することを目的とするミッションです。

宇宙デブリの問題は各国の宇宙開発において大きな課題となっており、日本ではアストロスケールの他にスカパーJSATによるベンチャーOrbital Lasers(オービタルレーザーズ)がレーザーによってデブリを除去する事業を2023年に立ち上げています。

3/14 Starship 3回目の飛行実験(アメリカ)


Third Flight Test – SpaceX公式You Tube

SpaceXが開発中の大型宇宙船Starshipの3回目の飛行実験を行いました。

StarshipはFalcon 9およびFalcon Heavyの次世代となる大型ロケットです。上段のStarship宇宙船と下段のSuper Heavy ロケットで構成された2段式で、どちらも再利用可能なシステムを採用しています。

地球低軌道飛行をはじめ、月や火星といった惑星飛行も可能にすることを目標としており、SpaceXの計画する宇宙ステーションStarlabの打ち上げにもStarsipを利用する事が発表されています。

Starship宇宙船単体での飛行試験は2021年に成功しており、2023年に入ってからはSuper Heavy ロケットを組み合わせて飛行するintegrated flight test(統合飛行試験)が行われています。

1回目は複数のエンジンが停止しコントロール制御ができず空中で破壊、2回目はSuper Heavy ロケットを分離後に宇宙空間まで到達したものの通信途絶となりました。

3回目となる今回は日本時間3月14日22時25分に打ち上げられた後に宇宙空間へ到達、今までで最長となる50分近く飛行し、その間宇宙空間でのペイロードドアの開閉テストや推進剤の移送でもテストなども行われました。

ロケットや宇宙船はその後再突入を行い、ロケットは発射台まで戻る所までが目標となっていましたが、ロケットは機体爆発、宇宙船は大気圏で再突入中に機体が破損し燃え尽きたと見られます。

 

5月中予定 EarthCARE(はくりゅう)打ち上げ(日本、ヨーロッパ)


EarthCARE コンセプトムービー – JAXA公式You Tube

欧州宇宙機関 (ESA) とJAXAが開発を進める観測衛星EarthCARE(和名はくりゅう)が打ち上げ予定です。

EarthCAREは主に雲やエアロゾル、熱放射エネルギーを全地球範囲で観測し、これらが気候にどのような影響を与えているのかを調査します。

雲やエアロゾルは気候変動の要因の一つとされていながら解明されていない部分が多く、EarthCAREで雲の動きや分布・立体構造を測定することで、気候変動予測モデルの精度を向上させることが目的となっています。

衛星には4つのセンサーが搭載されており、このうち雲の鉛直構造を調べる『雲プロファイリングレーダ(CPR)』をJAXAと情報通信研究機構(NICT)が開発、雲や大気微粒子(黄砂等)の水平方向の構造を調査する『多波長イメージャ(MSI)』、黄砂やPM2.5等の大気中微粒子や薄い雲の鉛直構造を調べる『大気ライダ(ATLID)』、太陽や大地からの熱放射エネルギーを計測する『広帯域放射収支計(BBR)』の3種の機器はESAが開発を行っています。

打ち上げはアメリカ・カルフォニア州のヴァンデンバーグ空軍基地からSpaceXのFalcon 9ロケットで行われる予定です。

6月~7月予定 Ariane 6打ち上げ(ヨーロッパ)

Ariane 6はヨーロッパの航空宇宙会社arianespace(アリアンスペース)によって開発が進められている、使い捨て型の衛星運搬ロケットです。

2023年に運用が終了したAriane 5の後継機であり、Ariane 5に比べて低コストでの打ち上げを実施できるとしています。

全長はH3ロケットの最大サイズと同じ63mで、液体水素と液体酸素を燃料として使用します。プースター2基のArian62とブースター4基のArian64の2つのバージョンが作られており、Arian62は政府や科学機関の衛星、Arian64は商用衛星の打ち上げを中心に運用される予定です。また、Arian64は大型の衛星2つを同時打ち上げが可能です。

Arianeロケットは1980年からヨーロッパで衛星打ち上げにに使用されているロケットで、前のバージョンであるArian5は1996年に運用開始以降、30年近くに渡り100回以上の打ち上げが行われました。

6/29予定 Gaganyaan試験飛行TV-D2実施(インド)

2023年10月に行われた月面着陸に続き、インドでは有人宇宙飛行計画Gaganyaan(ガガンヤーン)が進んでいます。

ミッションは3人の乗組員を3日間400kmの軌道に打ち上げ、インド洋に着陸させて安全に地球に帰還させるといった内容で、その前段階としてインドの有人宇宙船Gaganyaanの無人試験飛行が行われました。

第一段階である乗組員脱出システムの運用テスト(TV-D1)は2023年10月に実施されました。ロケットLaunch Vehicle Mark-3から切り離された脱出ポッドはベンガル湾に着水、ミッションは無事成功したと発表されています。

一方で着水時にポッドがひっくり返るなどの課題があったため、次回のテスト(TV-D2)ではこのシステムの安全性をさらに高めるため、直立で着水することを目的に現在調整が進められています。

TV-D2の打ち上げはTV-D1に引き続きインド南東部にあるサティシュ・ダワン宇宙センターから行われる予定です。

有人宇宙飛行

1/19~2/9 民間宇宙飛行士ミッション Axiom Mission 3(Ax-3)実施(アメリカ)


Axiom Mission 3打ち上げの様子 – NASA公式You Tube

Axiom Spaceによる3回目の宇宙飛行ミッションが行われました。

アメリカの民間宇宙企業Axiom Spaceが企画する国際宇宙ステーション(ISS)滞在計画Axiom Missionは2022年から打ち上げが実施されており、3回目となる今回はおよそ18日間ISSに滞在を行いました。

メンバー4名は全員男性です。昨年来日し、JAMSS主催のイベントで講演を行ったマイケル・ロペス=アレグリア氏(アメリカ・スペイン)が船長を務めました。

パイロットはワルテル・ヴィラディ氏(イタリア)、ミッションスペシャリストはアルパー・ゲゼラフチ氏(トルコ)とマーカス・ヴァント氏(スウェーデン)です。ゲゼラフチ氏はトルコで初の宇宙飛行士となりました。また、ヴァント氏は欧州宇宙機構(ESA)に所属する宇宙飛行士としては初めて商業宇宙飛行に参加しました。

メンバーはISSに滞在中、ロボット工学や人工知能など30以上の実験、50以上のアウトリーチ活動に取り組んでいます。

JAMSSでは1回目のAxiom Mission(Ax-1)から宇宙飛行士に対する国際宇宙ステーション(ISS)および日本実験棟「きぼう」の訓練を提供しており、Ax-3でも参加する宇宙飛行士4名とバックアップクルーに対し、「きぼう」の基本機能、緊急避難時の対応に関する訓練を実施しました。

次回のAxiom Mission 4(Ax-4)は10月頃に打ち上げ予定です。

また、今後のAxiom Missionには日本人の写真家・高松 聡氏が参加する事も発表されています。 

 

3/12 古川聡宇宙飛行士、ISSから地球に帰還(アメリカ)

クルードラゴン内のCrew-7メンバー©NASA/Joel Kowsky

国際宇宙ステーションに長期滞在していた古川聡宇宙飛行士含むCrew-7のメンバーが地球に帰還しました。

Crew-7は2023年8月26日に打ち上げが実施され、およそ197日間ISSで活動をおこなしました。研究の主な内容は免疫機能に関する研究や水のろ過テスト、ISS外に設置したボックス内の微生物や物質に関する分析などがNASAのブログに紹介されています。(https://www.nasa.gov/missions/station/iss-research/nasas-spacex-crew-7-completes-scientific-mission-on-space-station/)

メンバーは古川氏の他、船長のジャスミン・モグベリ氏(アメリカ)、アンドレアス・モーゲンセン氏(デンマーク)、 コンスタンチン・ボリソフ氏(ロシア)の4名です。

2024年以降のCCPプログラムには2025年に油井亀美也宇宙飛行士、大西卓哉宇宙飛行士のISS長期滞在が決まっています。

5/6予定→打ち上げ日未定 Starliner(スターライナー)有人試験飛行


Starlinerの無人試験飛行の様子 – NASA公式You Tube

アメリカの大手航空会社ボーイングが開発する宇宙船・Starlinerの有人宇宙飛行テストが5月6日ごろに行われる予定です。

現在NASAミッションの有人宇宙船はSpaceXのSpaceDragonを中心に運用されています。StarlinerはSpaceDragonと同時期に開発が始まり、2022年には無人飛行でISSへのドッキングに成功しています。

有人の宇宙飛行は初の試みで、バリー・ウィルモア宇宙飛行士とスニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士(いずれもアメリカ)2名が搭乗予定です。

ロケットはUnited Launch Alliance社によるAtrasVが使用され、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げ後にISSにドッキング、8日滞在後にStarlinerによる帰還を目指します。

日本初の宇宙イベントが満載の2024年に!

2023年の宇宙のニュースはアメリカなどの国外のニュースが中心でしたが、2024年前半は月面着陸や民間のロケット打ち上げなど、日本初の宇宙イベントが盛りだくさんとなっています。いずれも宇宙開発の歴史に新たな一ページが刻まれる、重要なニュースとなりました。

これからさらに心躍るような宇宙のイベントが、私たちを待ち受けているでしょう。

What is JAM Sta.

国際宇宙ステーション「きぼう」を運用している有人宇宙システム(JAMSS)が運営する、宇宙業界の盛り上がりをお届けする情報発信メディアです。「最新ニュース」「宇宙ビジネス」「宇宙利用」など様々な視点から、皆様へ宇宙の魅力をお届けします。
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